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2010-06-01

勇者「今日から無職か……」

1 :名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/10/18(土)
勇者「どうしよう……」

僧侶「溜め息ついてる暇有るなら、仕事でも探せ」


勇者「そう言ってもさー。俺、生まれてこのかた勇者しかやったこと無いし」

僧侶「仕方ねぇだろ。魔王は他の勇者に倒されたんだから」

勇者「今は貯えが結構あるから良いが、それが尽きると……」

僧侶「ああ、飯すら食えなくな――」

勇者「エロ本すら買えなくなる!」

僧侶「やっぱり、てめぇは飢えて死ね」

勇者「いいよな、魔王を倒したやつら。税金で養ってもらえるんだぜ?」

僧侶「てめぇ、税金納めた事ねぇ癖に何ぬかしてやがんだ」

勇者「今までは勇者ってことで税金免除されてたけど、
   これからは払わなくちゃいけないんだよなー」

僧侶「わかってるなら、仕事探せ」

勇者「僧侶はどうすんの?」

僧侶「私は僧侶だぞ? 巡礼の旅と言い張れば、宿と飯は教会で面倒みてくれんだよ」

勇者「何かずるい……。俺にももっと優しさを!」

僧侶「私は十分優しくしてるだろうが?」

勇者「えー? こう、もっとさー。女性的な優しさっつーのー? 何かさー」

僧侶「優しく半殺しにしてやろうか?」

勇者「遠慮します!」


2.
勇者「真面目に考えるか」

僧侶「お前って、真面目になれる機能付いてたの?」

勇者「失礼な。俺だって月に1回位は真面目になるさ」

僧侶「月に1回って、生理じゃねぇんだからよ」

勇者「生理と言えば、僧侶2日目だろ? 体は大丈夫か?」

僧侶「何でてめぇが私の周期知ってるんだよ!? 死ねやコラ!」


僧侶「で、希望する職業とかねぇの?」

勇者「必殺技とかを大声で叫べる職業!」

僧侶「んな仕事、勇者くらいしかねぇよ」

勇者「商品の名前を絶叫する道具屋とか、格好良くない?」

僧侶「そんな店で買い物できねぇだろ」

勇者「そうか? なんか楽しそうだと思うけど」

僧侶「自分の普段買ってるものを考えてみろ」

勇者「……羞恥プレイか。悪くない」

僧侶「だめだコイツ」

勇者「これまでの経験を活かして、冒険者とかどうだろう」

僧侶「どうやって金稼ぐんだよ」

勇者「未開の遺跡を発掘したり」

僧侶「お前にそんなスキルあるの?」

勇者「……」

僧侶「……」

勇者「モンスターを退治したり」

僧侶「魔王が倒されてから、モンスターは激減しただろ」

勇者「……」

僧侶「……」

勇者「どうしろってんだよ!」

僧侶「逆切れすんな」


3.
勇者「色々考えてたら日が暮れてしまった」

僧侶「考えての発言だったのか? あれで」

勇者「宿はどうしよう」

僧侶「もう部屋とってあるっつの。金は折半な」

勇者「同室?」

僧侶「んな訳あるかよ」

勇者「えー? 俺と君の仲なのにー?」

僧侶「どんな仲だよ」

勇者「一枚の下着を巡って死闘を繰り広げる仲?」

僧侶「そういえばてめぇ、また私のパンツ盗んだろ」

勇者「え? 今回は靴下だけど?」

僧侶「カマかけたんだっての。つーか、何で靴下……」


4.
勇者「朝だ! あーさーだー!」

僧侶「うるせぇ。口に鉄製の梨ぶち込むぞ」

勇者「ごめんなさい」

僧侶「で? 今日はどうすんだ?」

勇者「いや、考えても始まらないから、片っ端から就職面接受けてみる」

僧侶「お、勇者にしちゃ賢い選択だな」

勇者「僧侶は? 巡礼の旅とやらにでるのか?」

僧侶「テメェ放っておくとろくな事にならねぇだろうから、
   就職先が見つかるまでは監視してる」

勇者「べ、別に心配なんてしてないんだからね! とかの台詞は?」

僧侶「気が変わった。今から旅にでるわ」

勇者「すんません一人は寂しいです見捨てないでください」

勇者「食堂の面接行ってくる」

僧侶「皿洗いとかなら、大丈夫だろ」


5.
勇者「面接落ちたー!」

僧侶「あ? 何か思い当たる失敗とかあるか?」

勇者「いや、真剣に受けたぞ」

僧侶「どんな事聞かれた?」

勇者「なぜこの店を選んだのかって聞かれたから」

僧侶「うん」

勇者「美人のお客さんが使ったスプーンとかパクる為って答えた」

僧侶「バカだろテメェ。いや、バカだ」

勇者「今度は道具屋に挑戦」

僧侶「動機はちゃんと考えてから行けよ?」

勇者「今までの経験から、道具屋がとても重要な役割だと知ったって感じでいこうかと」

僧侶「よし、行ってこい」


勇者「受かったけど、直ぐにクビにされた」

僧侶「何を壊した? それとも、客を怒らせたか?」

勇者「そんなことしてねーよ!」

僧侶「なら、原因は何なんだよ?」

勇者「さあ? こんな品揃えじゃ旅の役には立たないって言ったら、店長が切れちゃって」

僧侶「それは切れるだろ馬鹿野郎」

勇者「だって、回復量の少ない薬草とかしかないんだぜ!?」

僧侶「普通の人のHPはお前みたいに高くねぇんだっつの」


勇者「新聞社もダメだった」

僧侶「面接でアウトか」

勇者「適当に国の批判してれば良いんですよねって、ちゃんと言ったんだけどな」

僧侶「一部はそうだけど、真面目にやってる人もいるっての」


6.
面接官「特技は何ですか」

勇者「イオナズンです」

面接官「イオナズンとは何ですか?」

勇者「爆発系の魔法です」

面接官「はぁ……魔法」

勇者「疑ってますね? 見せましょうか? イオナズン」

面接官「見せてください」


勇者「面接先が壊れた」

僧侶「請求書来てるぞコラ」

勇者「土木工事の仕事貰ってきた! 日雇いだけど」

僧侶「お前、体力だけはモンスター並みだし、向いてるんじゃねぇか?」


7.
勇者「クビになったー……」

僧侶「珍しく落ち込んでるな」

勇者「完全に俺の失敗だったからな」

僧侶「殊勝な事は良い事だ。どんな失敗したんだよ?」

勇者「思いっきりツルハシ振ったら、地面から黒い油みたいなの出てきた」

僧侶「は?」

勇者「こんな訳の分からないもの出したらクビだと思って、速攻で謝って逃げ帰ってきたぜ」

僧侶「……腐っても勇者。幸運と腕力は衰えてねぇのか。全力で空回ってるけど」

勇者「まともになんて働いてられるか!」

僧侶「車輪轢きと鋸引き、どっちで死にてぇんだ?」

勇者「冗談です!」

僧侶「アホなこと言うもんじゃねぇよ」

勇者「と、僧侶が油断した隙にカジノ行ってくるぜ!」

僧侶「行っちまった……。まぁ、財布忘れてったし良いか」


勇者「はぁっ、はぁっ……!」

僧侶「ん? 随分慌てて帰って来たな」

勇者「スロットマシン壊しちまった!」

僧侶「何やってんだよ馬鹿野郎」

勇者「床に落ちてたコインを入れてスロット回したら、何か大量にコイン出てきた」

僧侶「……まて、何の絵柄揃えた」

勇者「数字の7が書いてあったな。周りの人が騒ぎはじめたから、逃げてきた」

僧侶「ああ畜生。使わねぇならその幸運を私によこせ」


8.
勇者「ダメ元で学校の先生とかどうだろう」

僧侶「まぁ、受けるだけならタダだけどよ」

勇者「まさかの採用」

僧侶「明日の天気は槍。所により魚ってとこかな」

勇者「酷いリアクションだ……」

僧侶「で、脅したのか? 金で通ったのか?」

勇者「普通に受かったんだよ!」

僧侶「……嘘だー?」

勇者「体育の先生だそうだ。あとは、モンスターの知識とかを活かして欲しいってさ」

僧侶「モンスターの知識とか、どうやって活かせと」

勇者「さあ?」


勇者「学校はクビになりました」

僧侶「いや、私は安心したよ。お前が先生とか、愉快すぎて笑えねぇから」

勇者「今度こそ、問題は無いと思うんだけどなー」

僧侶「女子生徒の下着盗んだとかじゃねぇのか?」

勇者「俺は僧侶の下着しか盗まないって」

僧侶「……まぁ、反省の時間は後回しだ。なら、どうしてクビになったんだよ」

勇者「イジメしてた生徒をぶん殴ったら、親が出てきて。
   その親に、こいつが謝るまで俺は謝らないって言ったら」

僧侶「ガキかてめぇは……って、普段なら言うんだけどよ」

勇者「?」

僧侶「今回は仕方ねぇな。……どれ、ちょっとその学校、浄化してくるわ」

勇者「浄化って何――!?」


9.
勇者「酷い……学校を襲撃したのは俺じゃないのに」

僧侶「なんでか、私は逃げ切れたのに勇者は捕まってるんだよなー」

勇者「……ここ牢屋だぞ? 何で平然と僧侶がいるんだ?」

僧侶「袖の下を通した」

勇者「普通に面会とかにしろよ」

僧侶「手続きが面倒臭い」

勇者「そういう問題か?」

勇者「消灯時間だ。……腹減ったなー」

僧侶「量も無けりゃ、質も最悪な飯だったな。流石刑務所」

勇者「何で僧侶がまだここに居るんだ」

僧侶「なんとなく」

勇者「あっそ」


10.
勇者「今日の労働は……材木の切り出しか」

僧侶「なぁ」

勇者「なんだ?」

僧侶「滅茶苦茶馴染んでねぇか?」

勇者「単純作業だしなー。体力は使うけど、頭は使わないから楽チン」

僧侶「いっそ此処に住んじまえよ」

勇者「流石にそれは嫌だな。勇者っぽくないし」

僧侶「ああ、そういえばお前って勇者だっけ」

僧侶「飽きた。そろそろ娑婆に出るか」

勇者「いや、無理だろ!?」

僧侶「実は、既に保釈金を払ってたりする」

勇者「僧侶! 良くやった!」

僧侶「勇者の貯金を切り崩してな」

勇者「何だと……!?」


勇者「娑婆の空気はうまいぜ……」

僧侶「そうか?」

勇者「いや、言ってみたかっただけ」

僧侶「あっそ。で、次は何の仕事探す?」

勇者「今回の投獄で分かった。俺には力仕事が向いてる!」

僧侶「気付くの遅すぎだろ」

勇者「この国には仕事が無い!」

僧侶「いや、お前がことごとくバカやってクビになってるだけだから」

勇者「そこで! 俺は仕事を求めて旅立とうと思います!」

僧侶「いってらー」

勇者「え?」

僧侶「ん?」


11.
僧侶「結局、私も同行するのかよ」

勇者「いやー、僧侶居ないと寂しいし」

僧侶「私は勇者居ると面倒くせー」

勇者「そう言いつつも、付いてきてくれる僧侶大好き」

僧侶「私は大嫌いだっての」

勇者「何か機嫌悪いのか? ……もしや、さっきパンツを盗んだことに気付いたか?」

僧侶「パンツ返すか爪剥がされるか、どっちか選べ」

勇者「じゃあ、爪で」

僧侶「分かった。手を出しやがれ」

勇者「え? ちょっと、本気ですか僧侶サン? ……ぎゃー!」


勇者「色々な国を回ったが、俺に合う仕事は無かった」

僧侶「各地でトラブル起こして、そろそろ魔王に認定されそうだな」

勇者「え? 俺って魔王だったの?」

僧侶「被害を見れば、魔王より酷いかもな」

勇者「失礼な!」

僧侶「クビになった回数は?」

勇者「200回目から数えてません」

僧侶「雇用先を潰した数は?」

勇者「85……いや、86か」

僧侶「国を潰した数は?」

勇者「たったの3つだ! ……痛い痛い痛い! 指締め器は止めて!」


12.
僧侶「ついに入国拒否かよ」

勇者「僧侶が怖いからか?」

僧侶「テメェの罪状が各国に知れ渡ってるからだっての」

勇者「そうなのか……。あれ? いつの間にか俺が悪人に!?」

僧侶「はぁ……。何でテメェみたいなのが勇者になれたんだか」

勇者「僧侶、考え方がちょっと違う」

僧侶「あ?」

勇者「俺は勇者になりたくてなったんじゃ無くて、勇者にしかなれなかったんだ」

僧侶「意味わかんねぇ」


僧侶「そろそろ蓄えも無くなっちまうな」

勇者「でも、俺らを受け入れてくれる国自体ないし。どうする」

僧侶「アレを見ろ」

勇者「貨物船? それも、魔王領行きの」

僧侶「人間の国がダメなら、人外の国に行きゃいいんだよ」

勇者「いやいや、無理だろ!? 人間が魔王領なんて行ったら、3秒で食われるだろ!」

僧侶「その魔王領に行くのが、勇者本来の仕事だったろうが」

勇者「そういえばそうだっけ」


13.
勇者「すごい量の貨物だな」

僧侶「魔王が消えても、国力に衰えなしか」

勇者「え? 魔王居ないのに?」

僧侶「それだけ政治のシステムが整備されてたってことだろ」

勇者「なんか、人間の国よりすごくね?」

僧侶「テメェはそういう事を、思ったままに話すから無職なんだよ」

勇者「仕事ねーなー」

僧侶「おい、この国で就職出来なきゃ、野盗にでもなるしかねぇぞ」

勇者「人に害をなす仕事をするつもりは無い」

僧侶「今まで散々、いろんな国に被害出してきただろうがよ」

勇者「今までのはわざとじゃないからオッケー!」

僧侶「そういう問題かよ」

勇者「食堂の募集やってたから、ちょっと行ってくる」

僧侶「スプーンをパクるとか言うなよ?」

勇者「大丈夫。人間のお客はあんまり来ない所だから」


勇者「ごめん、もう辞めるわ」

僧侶「クビじゃなくて、辞めるだぁ?」

勇者「皆、すごく俺に良くしてくれるんだよ」

僧侶「それの何処に問題があるんだ」

勇者「何か、親切すぎて怖い」

僧侶「は?」

勇者「だって! 皆俺を見て涎を垂らしたり目を輝かせたりするんだぜ!?」

僧侶「あー……。美味そうに見えるのか」


14.
勇者「ピンクな気配がする!」

僧侶「あ? ついに壊れたか」

勇者「この求人広告を見てみろ」

僧侶「水商売……つか、どっちかってと風俗か」

勇者「人型の雄募集って!」

僧侶「……止めはしねぇけどよ」


勇者「うわーん! 僧侶ー!」

僧侶「やっぱりこうなったか」

勇者「落ち着いて考えたら、客はモンスターだった!」

僧侶「此処が何の国なのかいい加減学習しろ」

勇者「いくら俺でも、サイクロプスを相手に発情できないよ……」


15.
勇者「たまには街を散策して、羽を伸ばそう」

僧侶「現実逃避すんな」

勇者「いいじゃないか、このところ面接ばっかりだったんだから」

土産屋「魔王領土産にクッキー如何ですかー? 魔王様手作りクッキーですよー!」

僧侶「ちょっとまてコラ」

土産屋「はい? クッキー如何ですかー?」

勇者「魔王って、生きてるの?」

土産屋「ああ、このクッキーを作ってるのは次期魔王様ですよ」

僧侶「次期魔王?」

土産屋「呼びましょうか? 魔王様ー!」

魔王「はーい! 呼びましたー?」

勇者「魔王って、街中でエンカウントできるのか」


魔王「それで就職の旅を……大変でしたねー」

勇者「魔王ちゃんは良い子だなぁ。そう言ってくれるのは君だけだよ」

僧侶「ホント。うちの勇者と交換してぇ」

勇者「ところで、何で魔王が土産屋で働いてたんだ?」

魔王「魔王の座についたことを世界に公表するには、私はまだ未熟だからです」

勇者「どういうこと?」

魔王「正式に魔王になるためには、まだ数年は勉強しないといけません。
   働いてるのはその一環です」

僧侶「随分と、民に身近な王様だな」

魔王「実際に仕事をする立場になることも大事ですからね」

魔王「その、お二人ともまだ就職先は見つからないのですよね?」

勇者「はい!」

僧侶「なんで自身満々なんだよ」

魔王「よろしかったら、私の城で働きませんか?」

勇者「いいのか?」

僧侶「どんな仕事だ?」

魔王「勇者だった経験を活かして、部下のモンスターの訓練相手になって頂こうかと」

勇者「おお! 俺にぴったり!」

僧侶「テメェは暴れることしか出来ないしな」

魔王「僧侶さんは如何でしょう」

僧侶「給料いくら?」

魔王「月にこれ位で……あ、住居と食事は城で提供しますよ?」

僧侶「乗った」

勇者「いやー。こんなに長続きする仕事は初めてだ」

魔王「勇者さん、教え方が上手いって人気ですよ」


16.
僧侶「二人ともお疲れー」

魔王「僧侶さん、お帰りなさい」

僧侶「人の話聞いてるだけとか、これで金貰っていいのか?」

魔王「この国には教会がありませんから、懺悔できる人が居なかったのです」

僧侶「ふーん……」

魔王「お二人が居て、本当に助かってますよ」

魔王「僧侶さん、ちょっと良いですか?」

僧侶「あん? 何だ?」

魔王「勇者さんって、強いですよね」

僧侶「無駄にな」

魔王「その、失礼な話しなんですけど」

僧侶「言ってみなよ」

魔王「前魔王様の時代、聞こえてく勇者の噂の中に、勇者さんの名前はありませんでした」

僧侶「そりゃ、あんまり活躍してねぇしな」

魔王「あの強さで、ですか?」

僧侶「だってあの馬鹿、自分からは魔物倒さねぇんだもんよ」

魔王「どういうことです?」

僧侶「人に迷惑かけてる魔物なら、退治するんだけどな。それ以外はスルーしてんの」

魔王「なぜそんなことを」

僧侶「悪いことしてないのに、何で叩く必要あるんだ? だとよ」


17.
勇者「この国はいいなー。ずっと住みたいなー」

僧侶「まぁ、それでもいいけどよ」

魔王「住民票取りましょうか?」

勇者「いや、魔王ちゃんが正式に魔王になったら敵対するし」

僧侶「……は?」

勇者「魔王ちゃんはまだ何もしてないだろ?」

魔王「……そうですね。政治の勉強とかをしてる最中です。まだ魔物を動かしたりはしてません」

勇者「もし魔物を動かすことになって、人を襲うようになったなら」

魔王「貴方は勇者にもどる、ですか」

僧侶「テメェ、別に勇者やらなくてもよくねぇ? 他に何人もいるんだし」

勇者「そうはいかない。人を傷つけることは、良い事じゃない」

魔王「元勇者としては、許せませんか」

勇者「元勇者とか関係なしに、ダメなものはダメだろ」

僧侶「……お前がいつか、俺は勇者にしかなれなかったって言った意味。少しは分かったよ」

僧侶「でもそれ言ったらよ、人を襲う訓練を魔物につけてるお前はどうなるんだよ」

勇者「それを言われるとキツイな。でも、魔物にもなるべく死んで欲しくないのも本心」

僧侶「面倒臭いやつ」

勇者「そうか? ただの我侭だぞ?」


18.
僧侶「なんか悪いな。恩を仇で返す気満々で」

魔王「いえ。勇者さんは、ただ真っ直ぐなだけですから」

僧侶「真っ直ぐ過ぎて、歪んでる私からすりゃ狂って見える」

魔王「……確かに、たまに変態っぽいですけど」

僧侶「欲望にも真っ直ぐ」

魔王「うわ……」

僧侶「でもよ、本気で人が嫌がることはしねぇんだわ」

魔王「……僧侶さんって、パンツとられるの嫌がって無かったんですか」

僧侶「パンツは盗むけど、それだけなんだよ」

魔王「はい?」

僧侶「使ったりはしねぇってこと。パクって、隠して、ただちょっかい出してくるだけだ」

魔王「そうだったんですか」

僧侶「反対に、人の嫌がることは絶対に許さない所があるな」


僧侶「今まで、国すら滅ぼして旅をしてたって言ったろ?」

魔王「あ、はい」

僧侶「滅ぼした国は、どれも圧政を敷いて民を蔑ろにしていた国なんだよ」

魔王「!」

僧侶「だから、私達は生き延びられたんだ」

魔王「救った人々から助けられてですか?」

僧侶「そんなところ。……せっかくだから、王の座にでも収まればよかったものを」

魔王「何故、そうしなかったんでしょう?」

僧侶「自分の我を通すので精一杯だからだと」

魔王「はぁ……」

僧侶「あんなのが王様やったら、それこそ世界の終わりだろ」


19.
僧侶「そんなわけで、魔王よりも厄介な勇者一行は今に至るわけだ」

魔王「人を助けているのに、厄介ですか?」

僧侶「判断基準がみんな独善なんだから、厄介に決まってるだろうさ」

僧侶「でも、完全に間違ったことはしてねぇと思う」

僧侶「だから私は、勇者に従ってるんだ。馬鹿だし、放っとくと世界を敵に回しそうだしな」

魔王「僧侶さんって……勇者さんのこと好きなんですか?」

僧侶「何でそうなるんだよ」

魔王「だって、凄く勇者さんのこと良く分かってるじゃないですか」

僧侶「付き合いが長いだけだっての」


僧侶「おい勇者……って酒くせぇ」

勇者「んー?」

僧侶「んー? じゃねぇよ。珍しいな、テメェがここまで飲むの」

勇者「いや、あと数年で魔王ちゃんと敵対するのかと思うと悲しくてねー」

僧侶「なら、勇者なんかに戻るなよ」

勇者「それなら、一般人として打倒魔王の旅にでるさ」

僧侶「本当に面倒くさいなテメェは」

勇者「それに付き合ってくれる僧侶は優しいな。愛してるぞー?」

僧侶「へいへい。とっとと寝ろよ」


僧侶「……ばーか」


20.
数年後
勇者「いままでお世話になりましたー!」

僧侶「どうもな、魔王」

魔王「二人とも、本当に出て行くのですか?」

勇者「勇者のスタート地点が魔王城じゃ、ひどいだろ」

僧侶「そろそろ、国を潰したほとぼりも冷めてきただろうしよ」

魔王「……分かりました」

勇者「泣きそうな顔するなよ。絶対また合いに来るから」

僧侶「敵としてな」

魔王「ええ。楽しみに待っています」

勇者「じゃあな。俺達以外に倒されるなよ?」

僧侶「明日の宣戦布告、頑張りな」


魔王「全人類に告げる! 我が名は魔王――!」


勇者「始まったな」

僧侶「へぇ、結構な迫力じゃねぇか。クッキー焼いてたやつとは思えねぇ」

勇者「それ言ったら、俺達だって今日まで無職だったじゃないか」

僧侶「無職だったのはテメェだけだ」

勇者「そうだっけ?」

僧侶「僧侶は永久職だからな」

勇者「いいなー」

僧侶「なら、テメェも神職目指せばよかっただろ」

勇者「お祈りとか面倒臭い」

僧侶「なら諦めろ」

勇者「……そろそろ行くか」

僧侶「今度こそ、税金暮らし狙ってな」

勇者「ああ――」


勇者「今日から勇者か……!」

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