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2010-06-26

悪魔「えー発表します、全員死刑です」

1 :名前:以下、名無しにかわりましてHAM ◆HAM/FeZ/c2がお送りします 投稿日:2010/06/25(金)
「は??」


「え、意味わからないんだけど」

「いきなり何言ってんだよ」

「ていうか、お前誰??」

悪魔「私は、そうですね」

悪魔「あなた方の言うところの、悪魔です」

悪魔「そして、あなた方は全員死刑です、と言いました」

「悪魔ぁ??ふざけてるのか??」

「死刑ってどういうことよ」

「おれは何も悪いことはしてないぞ!!」

「お前は裁判官かなんかか??」

「これは夢か何かなの??」

「ていうかお前おかしいんじゃないの??」

悪魔「何もかもが現実ですし、ここに頭のおかしい人なんていません」

悪魔「ここにいるのは、お互い何の関係もない人たちですが」

悪魔「ある共通点により、死刑と定められました」

「共通点??」

「ていうか、ここはどこよ」

「私はさっきまで家にいたはずよ」

「まさか地獄??」

「それにしては針の山とか血の池とかがないよ」

「ちゃんと元の場所に帰れるんだろうな!!」

悪魔「まあまあ、そう一気にまくし立てないでください」

悪魔「みなさんの質問にいっぺんに答えたいところですが、とりあえず順を追って説明します」


2.
悪魔「ここは冥界。まあ、地獄と同じ意味にとらえてもらって結構です」

悪魔「もちろん今は、一時的にここにいてもらっているだけです」

悪魔「あなた方はまだ死んではいませんので」

「確かに足もちゃんとある」

「死んだ覚えもないしな」

悪魔「で、あなた方の共通点ですが」

悪魔「我々が定めた『ある瞬間』に、『誰かを殺したい』と強く念じた、ということです」

悪魔「心当たりはありますか??」

「…」

「…」

悪魔「あるようですね」

「ある瞬間ってなんだよ」

悪魔「6月6日、午後6時6分6秒です」

「…」

悪魔「悪魔らしいでしょう??」

「ふざけるな!!」

「そんなの出鱈目じゃない!!」

悪魔「いえいえ、大真面目です」

悪魔「その瞬間に『そう』念じてしまったみなさんは、残念ながら『危険分子』と見なされました」

悪魔「ですので、全員、死刑となりました」


3.
悪魔「悪魔というのはですね、不幸を連れてくるイメージが強いようですが」

悪魔「実は逆なんです」

「逆??」

悪魔「悪事を働こうとしている人間の邪魔をしたり、罰を与えたりするのが仕事です」

悪魔「なので、今私がしていることは立派な仕事なんです」

悪魔「『危険分子』に罰を与える、という、ね」

悪魔「悪魔に目をつけられてしまったと、そうお考えください」

悪魔「最近は人間界の治安も悪くなってきていますし、まあ、一斉掃除と言いますか」

悪魔「これは悪人を一気に減らそうという試みの一つなんです」

「ほんの出来心だろうが!!」

「それで死刑だなんて罪が重すぎるじゃない!!」

「ちょっと思っただけじゃん!!」

「実際になにか悪いことをしたわけじゃないだろ」

「取り消してよ!!」

悪魔「ですから、運が悪かったと」

悪魔「悪い宝くじにでも当たったと思ってください」

「それにしても、滅茶苦茶だ」

「納得できるわけないわ」


4.
「おい」

悪魔「はい」

「その『危険分子』はこれで全員か??」

悪魔「そうです」

「全員日本人じゃねえか」

悪魔「そうですね」

悪魔「私の管轄が日本なもので」

「…」

悪魔「もちろん、各国で同じようなゲー、いや、試みをしていますよ」

「ゲー??」

悪魔「あ、いえ」

悪魔「人は死ぬと、天界と冥界に行きます」

悪魔「天界は天国、冥界は地獄のようなものですね」

悪魔「天界では天使、冥界では悪魔になります」

悪魔「ですから私は、生前悪事を働いて地獄行きとなった人間なのでしょう」

「でしょう??」

悪魔「生前の記憶はありませんので」

悪魔「ちなみに自殺すると無条件で地獄行きです」

悪魔「そして、悪魔として仕事を続けると、再び地上で人間として生まれ変わります」

「…」

「簡単には信じれそうにない話だな」


5.
悪魔「まあ信じようが、信じまいが、どちらでもいいことです」

悪魔「ですが、あえて聞きます」

悪魔「あなた方は、まだ、生きたいですか」

「!!」

「当たり前だ!!」

「まだ人生これからだっていうのに!!」

「死にたいわけないでしょう!!」

悪魔「そうだと思いました」

悪魔「ですので、あなた方にチャンスを与えようと思います」

「チャンス??」

悪魔「ええ、生き残るためのチャンスを」

「どんな??」

悪魔「これからの人生で、人の命を救うこと」

悪魔「その行いによっては、死刑を免除しようと思います」

「人の命…」

「そんな…」

「簡単に言ってくれるぜ」

悪魔「まあ、難しく考えなくていいんです」

悪魔「自殺しようと悩んでいる人がいれば、励ましてあげたり」

悪魔「横断歩道の老人を車に轢かれないように導いてあげたり」

「どういう基準なの??」

「わけわかんねえ」


6.
悪魔「医者として死にそうな患者を救えば、それだけで大きなポイントです」

「今から医者になんかなれるか!!」

悪魔「溺れている子どもがいれば助けたり」

「そんなのドラマの中だけでしょう!!」

悪魔「いえいえ、意外と身近に転がっているかもしれませんよ??」

悪魔「それに、あなた方には選択の余地はないはずです」

「…」

悪魔「別に、あっさり諦めてくれてもいいんですよ」

「…」

悪魔「このチャンスをものにするかどうかは、あなた方次第です」

「そんなこと言われたって…」

「頭が付いていかないわよ」

悪魔「とりあえず、たくさんのことを聞いて頭がこんがらがっている人もいるでしょう」

悪魔「しばし休憩を取りましょう」

悪魔「ただしここで喧嘩なんてしないで下さいよ」

悪魔「10分後、また参ります」

悪魔「では」

ヒューン

「…」

「…飛んだ」


7.
「どう思う??この話」

「どう思うったって…」

「わけがわからないわ。まだ夢じゃないかと疑ってるもの」

「でも、これ、現実だよな…」

「い、一応、状況を整理しないか??」

「ええ、一度落ち着いて話しましょう」



「これが夢かどうかは、置いておこう」

「あいつが悪魔だという話、信じられるか??」

「それは…」

「最後、飛んでたしなあ」

「でも、もっともらしい説明はしていたけれど、悪魔らしいことはなにもしていないな」

「あとで、確かめてみるか」

「そうしましょう」

「ここが、地獄だという話は??」

「ちょっと薄暗いけれど、普通の町並みよね」

「あっちの方、なんか赤いぜ。燃えてんのかな」

「他に人はいないな」

「ゴーストタウンみたいなもんか」

「でも、家にいたのにいきなりここに飛ばされたよな??」

「それは私もよ」

「それに、この風景には、なんかこの世のものではない雰囲気がないか??」

「たしかに、普通じゃないわね」

「地獄のイメージとは違うが、とにかく得体の知れない場所だってことは確かだ」

「そうね」


8.
「じゃあ次、あの『危険分子』っていうくだりだけど…」

「みんな、正直に言おう」

「『誰かを殺したい』と、6月6日に念じたかどうか」

「僕は…念じたな、確かに」

「まあ、軽い気持ちで思ったつもりだったけれど」

「私も…ちょっとだけ」

「おれも」

「おれは…覚えてないな」

「おい、抜け駆けか??」

「そんなんじゃねえよ、本当に覚えがないんだよ」

「ここに、何人いる??」

「1,2,3…」

「12人か」

「この中で、自分が念じたことを覚えている人は??」



「11人か」

「おい、結局覚えてないのはお前だけじゃねえか」

「本当に覚えがないんだって!!」

「すれ違った時に肩がぶつかってイラッとして、つい思ったとか」

「そんなもんで殺されてたまるか!!」


9.
「その『危険分子』の基準を、もっと確かめてみないとな」

「じゃあ次」

「生き残るにはどうするべきか」

「あいつを締め上げてしまうってのはどうだ??」

「女もいるけど、12人もいりゃあ勝てるんじゃねえ??」

「でも、あいつ飛ぶぞ」

「触れられるかどうかも怪しいな」

「飛びかかっても、通り抜けちゃうかもね」

「得体の知れないものに、かかっていくのは得策ではないだろう」

「なんだよ、度胸のねえ連中だなあ」

「そう思うなら、一人でいけば??」

「う、いや…」


「人の命を救えばいいって言ってたな」

「簡単に言ってくれるよな…」

「その辺が具体的じゃないんだよなあ」

「逆なら簡単なんだけれどねえ」

「おい不謹慎だろ」

「ごめんなさい…」

「この12人で協力することはできないのかな??」

「もともと面識の一切ないメンバーなのよ、どうやって??」

悪魔「では、詳しい説明を始めましょうか」

「きゃあ!!」


10.
「いきなり現れるなよ」

悪魔「失礼、10分経ちましたので」

「あのさ、あんたが悪魔だっていう証拠はないのかよ」

「それがないと、いまいち信用できないんだが」

悪魔「これでいいですか??」

ピョコ

「いや、そんな尻尾出されてもなあ」

悪魔「では外しておきます」

「外せんのかよ」

悪魔「うーん、悪魔の特権としては、『自然を操れる』ということなんですが」

「自然??」

悪魔「とりあえず風でも吹かせてみましょうか」

悪魔「…」ブツブツ

びゅうううおおおおおおおううううううう

「うわっ!!」

「きゃっ!!」

悪魔「あと、雨とかも」

悪魔「…」ブツブツ

ポツ、ポツ…

ザアアアアアアアアアアアアアア


11.
悪魔「どうです??信じていただけましたか??」

「わ、わかった、信じる」

「わかったから早く雨をやませて!!」

悪魔「はい」

サァ…

悪魔「ちなみに本気を出せば、ここら一帯を真空にもできます」

悪魔「雷を落とすことも、地割れを起こすこともできます」

悪魔「ですから私には逆らわない方が、よろしいかと」

「わ、わかった」

「…恐ろしい」

悪魔「先程の、『生き残るためのチャンス』には、全員参加ということでよろしいでしょうか??」

「…」

「ああ」

「ちょ、ちょっと待ってくれ、その前に」

悪魔「なんでしょうか??」

「おれは、『誰かを殺したい』と念じた覚えなんてないんだが」

悪魔「まったくありませんか??」

「ない」


12.
悪魔「あなたは…ええと」

悪魔「ああ、わかりました」

悪魔「あなた、ネットサーフィンをしますね??」

「ああ…まあ多少は」

悪魔「掲示板なんかもよく見ますよね」

「ああ」

悪魔「そこで不適切な書き込みをしましたね」

悪魔「『○○を殺す』と」

「え…」

悪魔「それも身近ではない、大物有名人ですね」

「それは、その、冗談で…」

悪魔「我々としては、冗談で通じなかったのです」

悪魔「結果、『危険分子』として引っかかってしまったのですから」

「そんな…」

悪魔「ご理解いただけましたか??」

「…うう」

悪魔「では、この試みに先立って、とりあえずみなさんにプレゼントがあります」

「プレゼント??」

悪魔「はい」

悪魔「人の命を救うために、必要なものです」

悪魔「みなさん、目をつぶってください」



悪魔「少しそのままでいてください」

シュイーン

悪魔「はい、完了です」


13.
悪魔「今みなさんの目を『悪魔の目』にしました」

「悪魔の目??」

悪魔「ええ、人の寿命が見える目です」

「おい、なんかで同じようなのがあったぞ」

悪魔「それとは少し違います」

悪魔「お互いの頭の上に、数字が2列見えるでしょう??」

悪魔「上が実際の死ぬまでの時間」

悪魔「下が寿命です」

「一緒じゃねえか」

悪魔「少し違います」

悪魔「下の数字は、健康に生きていった上での、老衰死するまでの時間です」

悪魔「これは基本的に大きく変動しません」

悪魔「病気にかかったり、事故に遭う可能性が高まると、上の方の数字が減ります」

悪魔「上の数字は変動するのです」

「で??」

悪魔「上の数字と下の数字が大きく離れている人を、救ってください」

悪魔「たとえば、寿命はあと10年あるのに、上の数字が1時間の人などですね」

悪魔「ちなみに、人にこの寿命を伝えることは反則ですのでペナルティが課せられます」

「え、ペナルティ??」


14.
悪魔「ペナルティが溜まると、即刻死刑です」

悪魔「気を付けてくださいね」

「…」

悪魔「で、ですね」

悪魔「たとえば上の数字が残り10分なんて人を見かけたら、よく観察してください」

悪魔「間もなく死ぬ人です」

悪魔「事故か、殺人か、はたまた自殺かはわかりませんが、とにかく死ぬ運命です」

悪魔「その運命を捻じ曲げれば、その人は助かり、上の数字は増えるでしょう」

悪魔「どれだけ多くの人の数字を、寿命を、伸ばせるかを競ってもらいます」

「競うのか??」

悪魔「ええ」

悪魔「もっとも多くの人を救った人、1名の死刑を免除します」

「1名だと!?」

「そんなあ!!」

「あとの11人は死ぬってのかよ!!」

悪魔「ええ、頑張ってください」

「いつまで頑張ればいいんだよ!!」

悪魔「期限はお知らせしません」

悪魔「とにかく、救い続けること」

悪魔「それしかありません」

「無茶よ!!」

悪魔「無茶でもなんでも、生き残りたいというのならやってもらいます」

悪魔「諦めるかどうかは、みなさん次第ですから」


15.
悪魔「諦める方は、私を呼び出してください」

悪魔「空中に向かって話しかけてくれれば応答します」

悪魔「しかし、周りに多くの人がいるときや、私が他の人と会話しているときは応答できませんので」

「呼び出して、どうするんだよ」

悪魔「ギブアップする旨を伝えていただければ…」

「伝えれば??」

悪魔「その場で死刑執行となります」

「…」

「…なんだよ」

悪魔「そういうことです」

悪魔「生きている限りは、生き延びるチャンスは続いていると思ってください」

悪魔「終了するときは、みなさん全員に一斉に呼びかけますので」

悪魔「あ、もしくはまたここに呼び出すかもしれません」

「で、いつまで続くのよ」

悪魔「それはお答えできません」

悪魔「1カ月かもしれませんし、10年かもしれません」

「10年!?」

悪魔「頑張ってくださいね」


16.
悪魔「では、もう質問などございませんか??」

「…」

「…」

悪魔「あ、一応ここにおられる人に関する記憶だけ消させていただきます」

「どうして??」

悪魔「ライバルが減ればいいと、残りの人を殺しにかかる人がいるかもしれませんので」

「…」

悪魔「また、この中の誰かと協力して人を救うことも一応禁止になっておりますので」

悪魔「ただし、私との話は記憶に残るのでご安心ください」

「ご安心ください、てか」

「安心なんてできるかよ」

悪魔「失礼いたしました」

悪魔「さあ、それでは地上に戻っていただきます」

悪魔「各自、頑張ってください!!」

「お、おい」

シュイーン



悪魔「…ふう」

悪魔「全員しっかり戻せたな」

悪魔「さあ、これからが忙しい」


17.
―人間界―

ピピピピ…ピピピピ…

男「う…」

男「朝、か」

姉「そろそろ起きなさいよー」

男「うーん」

男「(なんだ、夢か)」

男「(とりあえず顔洗お)」


男「(昨日は何してたんだっけ)」シャコシャコ

男「(全然覚えてないな)」シャコシャコ

男「(しかしリアルな夢だったな…)」ジャー

姉「早く食べちゃいなさいよー」

男「あーい」

男「(とりあえず今日は…あれ、何曜日だっけ)」


男「姉ちゃん、今日って何曜…」

男「!!」

姉「もう、なに寝ぼけてんのよ」

姉「今日は月曜よ、たった2日の休みで休みボケなの??」

男「あ、ああ…ゴメン」

男「(姉ちゃんの頭の上に見える数字って…)」

男「(あの悪魔が言ってた、寿命??)」

男「(どっちがどっちだっけ)」

男「(ていうか、これが見えるってことは…)」


18.
男「姉ちゃん、おれ、昨日なにしてたっけ」

姉「はあ??」

姉「あんた昨日のことも思い出せないの??」

男「あ、いや、ゴメン今のは忘れて」

姉「まったくもう、心配だわ」

男「(とりあえず、姉ちゃんの寿命はまだまだあるな)」

男「(ちょっと安心)」

男「(でもさっき鏡見たときは、自分の寿命は見えなかったのに)」


男「悪魔の人ー」

男「今は部屋で一人だから大丈夫ですよー」

男「応答してくださーい」

シーン

男「…あれ??」

男「おかしいな」

男「聞きたいこと色々あんのに、応答なしかよ」

男「…」

男「おっと、もう学校に行かないと」

男「行ってきまーす」

姉「はーい、行ってらっしゃい」

ガチャ

お隣さん「あら、おはよう」

男「あ、おはようございます」

お隣さん「今日もいい天気ねえ」

男「そうですねー」

男「(あと48年…長生きだねえ)」


19.
猫「…」

男「うお、猫の寿命も見えんのかよ」

猫「にゃあ」

男「野良猫のくせにまだそんなに生きるのか」

男「恵まれてるなーお前」

猫「にゃあ??」

男「あげられる餌ねえんだ、ごめんな」

猫「なおー」


男「(それにしても、こう色々と数字ばっかり見えるのは…)」

男「(目がちかちかするな)」

男「(ていうか、いい気分でもないし)」

男「(悪魔に近づいてんのかな、悪魔の目もらってんだし)」

老人「…」

男「(うーん、老人の寿命はリアルだな。残りの人生頑張ってください)」

妊婦「…」

男「(数字が4つ見えるってのは、赤ちゃんの分かな)」


男「(あ、警官だ)」

男「(朝から御苦労さま)」

男「(…あれ??)」

警官「…」ボー

男「(上の数字、下の数字よりもちょっと少ないな)」

男「(でも今すぐ死ぬわけでもないし)」

男「(警官って、やっぱ命かかってるからだろうかねえ)」

警官「…」ボー

男「(大変ですね)」

警官「ん??」


20.
―学校―

「おはよー」

「今日もだるいなー」

「ういーっす」

男「(おうおう、みんな長生きですねえ)」

男「(うお、あいつ100歳以上生きるじゃん、すげー)」

男「(…)」

女子たち「きゃっきゃっ」

男「(やっぱちょっとだけ女子の方が長生きなんだなあ)」

男「(って、おれ、この状況にもう慣れちゃったのかな)」

男「(うーん、やべえ)」


男「おはよ」

友「おーっす」

男「(こいつも結構長生きするな)」

友「あん??何だよジロジロ見て」

男「あ、いや」

男「(これ伝えたら、ペナルティか)」

男「なんでもないよ、今日も健康そうだな」

友「はあ??なんだよそれ」

男「別になんでもねえよ」


21.
男「なあ、昨日なにしてた??」

友「おいおい、もう忘れたのかよ」

友「昨日は一緒に出かけたじゃん」

男「え、あ、そうか、そうだったな」

友「んだよ、変な奴」

男「(あれ、そうだったっけ)」

男「(全然覚えてない)」

友「認知症か??」

男「うっせ」


男「(しかし、死にそうな奴って全然いないな)」

男「(まあそんな奴が身近にいても困るが)」

友「くぁ…」

男「(平和だな)」

男「(こんなんで人助けなんてできるのかな)」

担任「うーっす、出席取るぞー」

男「(あ、先生意外と長生きしねえんだ)」

男「(もうちょっと優しくしてやろう)」


22.
担任「安藤」

「はい」

担任「池野」

「はーい」

担任「垣内」

「うい」

男「(お、垣内ゾロ目じゃん)」

男「(今日はいいことありそうだね)」ニヤニヤ

担任「久遠」

「あい」

男「(久遠あと69年か…ヤラシイな)」ニヤニヤ


ガラッ

「おはよーっす」

担任「おい、遅いぞ」

「ゴメンゴメン、見逃してくれよ~」

担任「ダメだ」

「んっだよ、クソが」

男「(あいつ…寿命短ッ)」ププッ

男「(格好つけて煙草ばっかり吸ってるからだよ、バーカ)」ププッ

男「(煙草は吸わないようにしよう)」


23.
担任「で、あるからして…」

男「(自殺願望のやつとかいないかな)」キョロキョロ

担任「おい、キョロキョロすんな」

男「あ、はい」

担任「えーっと、じゃ次のページの」

ジリリリリリリリリ

担任「!!」

「非常ベル??」

「誰かふざけて押したんじゃねえ??」

担任「…ちょっと見てくるわ」

担任「次のページの問題、やっといて」

ザワザワ

男「どうせ間違いだろ」

友「そんな焦ることでもねえよな」

ザワザワ

男「!!」

男「みんなの寿命が…減ってる!!」

友「あ??なんだって??」

男「ななななんでもない」

男「(みんな、みんな…やばい)」

男「(30分…みんな30分…)」

男「(30分後に、なにか起こるんだ!!)」


24.
男「(ていうか、ここにいるみんな30分ってことは)」

男「(おれも、たぶん30分後に…死ぬ)」

男「(うわ、うわ、うわ…どうしよう)」

友「おい??顔色悪いぞ、お前」

男「(なんだ、非常ベルがなにか関係あるのか)」

男「(地震か)」

男「(火事か)」

友「おい、保健室行くか??」

男「(どうしよう…どうしよう…)」


男「(そうだ!!)」

男「おい、お前の携帯ワンセグだったよな!!」

友「あ、ああ、そうだけど」

男「テレビ見せてくれ!!生放送のやつならなんでもいい」

友「あ??ああ、いいけど」

男「(他の人の寿命が見れれば…)」

友「おい、これでいいか」

男「あ、サンキュ」


25.
友「これ生っぽいけど、なんだろうな」

「お前らなに見てんの??」

友「いや、わかんねえんだけどさ。こいつが見せろって」

「ああこれ、今日芸能人来てるんだってな、あのホールに」

男「あのホールって」

「セントラルホールだよ、隣の駅のさ」

友「ああ、近いな」

男「セントラルホールか…」

男「(あそこに、今いるレポーターの寿命は…)」

男「(30分じゃない!!普通だ!!)」

男「(ということは…この学校で、この近辺で、何かが起こるんだ)」

男「(逃げなきゃ、逃げなきゃ)」

ガシガシ

男「(どうすりゃあいい!!)」

友「おい、本当に大丈夫か??お前」

男「(ああ、もうあと29分…)」


26.
男「(とりあえず、この学校から逃げ出さなきゃあ)」

男「(みんなを無事に学校から出すためには…!!)」

ダダッ

友「お、おい、どこ行くんだよ」

男「ちょっと!!」

男「(放送室!!放送室!!)」



男「(とにかく、この学校からみんなを出さないと)」

男「(嘘でもなんでもいい、火事でもいい)」



男「(あれ、職員室が騒がしい??)」


「そんな要求は飲めない!!」

「だったら、学校ごと心中しますか??」

「主導権はすでにこちらにあるんですよ」

「く…」

男「(なんだ??だれかがいる)」

男「(武装した奴らが…5人??6人??)」

「さあ、はやく全校放送するんだ」

「学校は占拠された、おとなしくおれたちの言うことを聞くんだ、ということを」

「そして、これより校外に脱出しようとした奴は」

「殺す、ということを」

男「!!」


27.
男「(なんか、想像以上にやばいことになってる…)」

男「(事故とか、災害じゃない…)」

男「(テロか??)」

男「(そんな、映画みたいなことが…)」

「もちろん入口には我々の仲間が張っている」

「下手な真似はしない方がいい」

「く…」

「そうだな、まずは教師を全員この場に呼ぶんだ」

「わ、わかった…」



『職員連絡です、至急、職員室にお集まりください』

男「(駄目だ、ここにいても見つかる)」

男「(どこか、隠れつつも会話が聞こえるところに)」



男「(…)」

男「(ねえええ!!そんな都合のいい場所なんかねええええ!!)」

ザワザワ

男「(げ、先生集まって来ちゃった…どうするどうする…)」


28.
担任「お、なにしてんだ、お前」

男「うお、先生なんでこんなところに」

男「ちょちょちょ、ちょっと待って」

担任「ああ??どうしたんだよ」

男「シーッ」

担任「??」

男「今職員室行っちゃだめ、ちょっと一緒に隠れて!!」

担任「どこにだよ」

男「トイレ!!そうトイレに!!」

担任「あん??」

―トイレ内―

担任「で、なんだ」

男「(先生も、寿命が30分切ってる)」

担任「なんか、人に聞かれたくない相談ごとか??」

男「いや、あの、今ですね」

男「職員室に武装した連中がいて、先生たちを脅してるんですよ」

担任「はああ??」

男「本当なんです!!」

担任「ゲームのやりすぎじゃないかお前」

男「いやいやいやマジで!!」


29.
男「で、校内は占拠したとか、逃げようとした奴は殺すとか言ってるんですよ」

担任「はあ…」

男「信じてください!!」

担任「まあ、嘘ならもっとましな嘘吐くよな、普通」

担任「本当の話なのか」

男「はい…」

男「で、どうしたらいいかと思って…」

担任「お前はなんで職員室の前にいたんだよ」

男「いえ、非常ベルが鳴ったから、ちょっと慌てて、テンパって…」

担任「へえ」

男「先生こそ教室出てったのに、どうして職員室に向かってなかったんですか??」

担任「え??ああ、煙草吸ってた」

男「(このダメ教師!!)」

担任「いいじゃねえか、息抜きくらい」

男「一時間目から息抜くなよ!!」

男「でもまあ、そのおかげでこうして相談できたんだけど」

担任「だろ??おれ間違ってなかっただろ??」

男「教師としては間違ってるけど今は許してやるよ!!」

担任「どうしてお前はそう偉そうなんだよ」


30.
男「先生なんか武道とかできないんですか」

担任「ん、剣道なら初段だ」

男「おお、頼れるじゃないですか」

担任「でも相手は武装してるんだろ??」

男「はい、なんかサバゲーしてる人たちみたいな格好でした」

担任「無理、そんなもんに剣が勝てるか!!」

男「えええ、使えねえ」

担任「うるせえな」

担任「携帯から警察でも呼ぶか」

男「警察呼んだって、生徒みんな人質に取られてたらどうしようもないじゃないですか」

担任「そうか…」

男「今このことを知ってるのはおれたちだけなんですよ」

男「それに先生たちはみんな職員室に捕まっちゃってるから、実質大人は先生だけなんですよ」

担任「う、ううん」

男「おれたちでなんとかしましょう」

男「(死にたくはないし)」

男「(それにここでうまく切り抜けられたら、おれ死刑免除じゃねえ??)」


31.
担任「いや、でも警察は呼んでおくべきだろう」

男「まあ、無駄ではないでしょうね」

担任「お前かけろ」

男「え、なんでおれが」

担任「相手を実際に見たのはお前だろう」

担任「いいからかけろ」

男「はい…」

男「(でも、そうこうしてる間にも上の数字は減っていく…)」

男「(早くなんとかしないと)」ピピピ

プルルル…



男「それにしても、校内放送入らないですね」

男「てっきり先生呼び集めたら放送入るかと思ったのに」

担任「揉めてるんじゃねえ??」

男「!!」

男「(ちょっと待て、おかしいぞ)」

男「(あのクラスの全員、死ぬまでの時間が一緒だった)」

男「(そして先生も、一緒だ)」

男「一斉にみんな死ぬ」

担任「はあ??なに不吉なこと言って」

男「…爆弾とか??」

担任「爆弾がどうした??」


32.
男「多分、校内に爆弾が仕掛けられてるんじゃないでしょうか」

担任「なんでだよ」

男「え、えっと」

男「校内は占拠したって言ってたんですよ、そいつらは」

男「でも職員室の5,6人以外に、うろついてる人は見かけなかったし」

男「メンバーは結構少ないと思うんです」

担任「ああ、中庭にも別に誰もいなかったな」

男「中庭で吸うんじゃねえよテメー」

担任「お前今、担任に向かってテメーっつった??」

男「そ、それに、えっと」

男「みんなに、死相が見えるんです」

担任「死相ってお前」

男「ちなみに先生もあと20分強で死にます」

担任「ま、マジかよ」

担任「って信じてどうする、おれ」

男「(どうせおれもほっときゃあ死ぬんだ、これくらい言ったって構わないだろ)」

男「もしかしたら、単なる無差別テロかも」

担任「自殺覚悟でか??」

男「なにかこの学校に恨みがあるか、宗教関係かは知りませんが」

担任「まあ、もしかしたらそうかもしれないけどよ」

男「爆弾を僕らで見つければ」

担任「無理だよ、どうやって解除すんだよ」

担任「素人だぞ、おれたち二人」

男「だったら先生もなにか考えてくださいよ!!」

担任「ん、んん。そうか」

担任「諦めて職員室に突入するか??」

男「それこそ自殺行為でしょうが」


33.
男「目的がなにか達成されたら、おれたち死なずに済むかな」

担任「そんないかれた奴らの目的なんてわかんねえよ」

男「この学校になにか大きな秘密が??」

担任「んなもん聞いたことないし」

男「じゃあ例えば、この町にお宝があって…」

担任「勝手に探せよな、そんなもん」

男「いや、でも聞いたことありません??なんだっけ、ほら」

担任「都市伝説かなんかか」

男「そう!!それっぽい噂があったような…」

男「あ」

男「町はずれに、研究所みたいなのがあったじゃないですか」

担任「ああ、あの古臭いビルか」

男「あそこでやってる研究が、なんかすげえって聞いたことあるんですけど」

担任「あそこでやってる研究って言っても、今はもうほとんど無人だろ??」

男「いや、時々電気付いてますよ」

担任「マジか」

担任「で、それが学校占拠とどうつながるんだよ」

男「さあ…」


34.
男「なにか、うまく言えませんが…」

男「とんでもないことが起こっているのかも知れません」

担任「…」

担任「馬鹿馬鹿しい…」

男「え??」

担任「今どき、しかも日本にそんないかれたテロ集団がいるって話」

担任「この校内に爆弾があるって話」

担任「みんなに死相が見えるから、もうすぐみんな死ぬって話」

担任「全部信憑性がないじゃねえか」

男「そ、それは…」

担任「今、職員室では単なる会議が行われてて、
   おれだけサボリ教師のレッテル貼られてるかも知れねえんだ」

男「(サボリ教師は事実じゃん…)」

男「いや、でも、職員室に武装した奴らがいるのは確かに見たんですって!!」

担任「それが事実だとしてもだ、おれがここに隠れてることが好転につながるとも思えない」

男「それは…」

担任「警察はさっきお前が呼んだし、あとは警察に任せるべきだ」

男「う…」

担任「職員室内で、教師が一人足りないってばれてないとも限らんしな」

担任「とりあえず行ってくる」

男「ちょ、先生!!」

担任「だが、お前の話が全部ウソだとは思ってないぞ」

男「え」

担任「だから携帯を通話状態にしたまま行ってきてやるよ」

担任「お前のその飛躍した妄想なんて、そこらに簡単に転がってるもんじゃないって」

担任「自分の耳で確かめな」

男「せ、先生!!」

担任「お前がここにいること、ばれんじゃねえぞ」

担任「んじゃ、行ってくら」


35.
―冥界―

「おお、どうなるコレ」

「ひっひっひ、あの青ざめた顔」

「もう時間ねえぞ!!頑張れ少年!!」

「無駄無駄!!大人しく死んどけ!!」

「だっはっは」

悪魔「ふむ、順調順調」

悪魔「しかし、初日からこんなに大きな動きがあるとは予想していなかった」

女悪魔「おいーっす」

悪魔「おお、久しぶり」

女悪魔「久しぶり。なに、なんか盛り上がってるけど」

悪魔「あれ、お前知らないの??」

女悪魔「ここ数日、人間界に研修行かされててさあ」

女悪魔「こっちのこと、全然知らないんだけど」

悪魔「あ、そうなんだ」

女悪魔「で、なにが始まってんの??」

悪魔「ゲームさ」

女「ゲーム??あたしのいないうちにずるい!!」


36.
悪魔「あのでっかいモニターに映ってるのは、なんの映像かわかるか??」

女悪魔「人間界でしょ。高校生くらいの子??」

悪魔「そうだ」

女悪魔「人間使って、どんなゲームをしてるのよ」

悪魔「サバイバルさ。いや、ロワイヤルかな??」

女悪魔「殺し合わせるの??」

悪魔「逆だ逆、命を救うんだよ」

女悪魔「ふーん??」

悪魔「殺し合いのゲームの提案なんて、ジジイが通すわけないだろ」

女悪魔「ま、そりゃあそうか」

女悪魔「で、なんでここにいるみんなは、あんなに熱中してんの??」

悪魔「そりゃあ賭けてるからさ」

女悪魔「賭け??」

悪魔「ああ、12人でサバイバルさせて、勝ち残るのは誰かを賭けてるんだ」

女悪魔「その案ジジイが通したの??」

悪魔「もちろん却下」

女悪魔「でしょうね」

悪魔「だから賭けてるのは水面下でだよ」

女悪魔「ばれてると思うけどなあ…」


37.
女悪魔「他にもゲームに参加してる人間が11人いるのよね」

悪魔「そう、他の所にもモニターが設置してあって、それぞれのやつを映してるよ」

女悪魔「ここに集まってきてるのは、みんなあの子に賭けてる悪魔??」

悪魔「いや、そういうわけでもないみたいだ」

悪魔「動きがないとつまらないからな、みんないろいろ見て回ってる」

女悪魔「大々的にやってるのねえ」

悪魔「冥界の活性化にもつながるかもな」

女悪魔「賭けごとで??」

悪魔「お前も賭けとく??」

女悪魔「う~ん、まだ様子見てるわ」

女悪魔「もうちょっと詳しく教えてよ」

悪魔「いいぜ」

女悪魔「人間はゲームに参加してるって自覚あるの??」

女悪魔「それとも勝手に監視してるだけ??」

悪魔「任意参加さ。まあ半強制だけどな」

女悪魔「どういうこと??」

悪魔「つまり、やつら12人は悪魔に目をつけられた『危険分子』」

悪魔「このゲームに参加しないと死ぬ、と脅したんだよ」

女悪魔「はあ~」

女悪魔「悪いこと考えたもんねえ」

悪魔「褒め言葉と受け取っとくぜ」


38.
女悪魔「え??このゲームあんたの考案なの??」

悪魔「おう」

女悪魔「どしたのどしたの、無気力悪魔のくせして」

女悪魔「賭けにも乗らず傍観してニヤニヤしてるタイプでしょ、あんたは」

悪魔「ひでえな…まあ当たってるけど」

女悪魔「そんなあんたが、どうしてこんなこと始めたのよ」

悪魔「まあジジイの気まぐれから始まったんだけどな…」

悪魔「ここ最近、天界と冥界の人数のバランスが悪いってのは、お前も聞いてるだろ」

女悪魔「うん」

悪魔「冥界行きになるような、まあ所謂『悪いやつ』が増えてんだよな」

女悪魔「そうね」

悪魔「しかもそれだけじゃなくて、ここ数年『自殺者』も激増してんだよな」

悪魔「しかも特に日本で」

女悪魔「ね。もったいないよね、短い命なのに」

悪魔「まあ、結局冥界行きになってるおれらが偉そうに言うことじゃないが」

女悪魔「あはは」

悪魔「このままだとバランスが崩れてこっちの世界が崩壊…」

女悪魔「するかもしれない、と」

悪魔「そう、最悪の場合な」


39.
悪魔「で、ジジイが提案したんだよ」

悪魔「冥界に来る人間を減らし、天界行きになる人間を増やす案を持って来い、と」

女悪魔「それにハイハイ従ったの、あんたが」

悪魔「もちろんご褒美が用意されてる」

女悪魔「でしょうね」

女悪魔「あんたが『冥界のために』とかって働くわけないし」

悪魔「さっきからいちいち言うこときつくねえ??」

女悪魔「事実でしょう」

悪魔「ったく…」


女悪魔「で、このゲームでどう良くなるのよ」

悪魔「まず第一に、あの12人には『悪魔の目』をプレゼントしてあるんだが」

女悪魔「え」

悪魔「『悪魔に目をつけられた』って言ったろ」

女悪魔「…ただの駄洒落じゃん」

悪魔「いやいや、実際に『悪魔の目』付けてやったんだよ」

女悪魔「どっからそんなに用意したのよ」

悪魔「博士に大急ぎで作ってもらってな」


40.
女悪魔「12個も…博士がよく乗ってくれたわね」

悪魔「協力してくれたら、おれからジジイにちゃんと口添えしておくからって」

女悪魔「なんて??」

悪魔「もうしばらく冥界でのんびり研究させてあげてくださいって」

女悪魔「あの人、冥界を出たがらないからねえ…」

悪魔「な。若い頃はきっと美人だったろうに」

女悪魔「それ関係あんの??」

悪魔「いや…」

女悪魔「で、『悪魔の目』はなんのために??」

悪魔「対象の寿命を見て、死を食い止めるためだよ」

女悪魔「ああ、そういえば言ってたわね。サバイバルって」

悪魔「そ。多くの人の寿命を延ばしたやつの勝ち」

悪魔「人の寿命に気をつけておいて、死にそうなやつを何とかしろ、ってのがゲーム内容」

女悪魔「確かに、それで殺人やら自殺が減ったら『冥界行き』も減るか」

悪魔「そういうこと」


41.
女悪魔「第一にって言ったけど、他にもあるの??」

悪魔「ああ」

悪魔「あいつらは『危険分子』だから」

女悪魔「どうして??」

悪魔「状況は様々だが、『誰かを殺したい』という殺人衝動があったからな」

女悪魔「そういうやつらを集めたってわけ」

悪魔「そう」

女悪魔「ちなみにあのモニターの子は??」

悪魔「ああ、確か…」

悪魔「友達に彼女ができたって聞いたとたん、『お前…殺す!!』って言いやがった」

女悪魔「へえ」

女悪魔「やあね、最近の子どもは簡単に『殺す』『殺す』って口にして」

悪魔「ほんとほんと」

悪魔「そんなに簡単に人を殺してもらっちゃ、ますます冥界が混雑しちまう」

女悪魔「その『危険分子』が人助けに精を出せば、それだけ冥界行きの人間も減るわけか」

悪魔「一石二鳥、ってな」

女悪魔「なるほどねえ」


42.
女悪魔「でも…」

悪魔「ん??」

女悪魔「あの子、寿命減り続けてるわよ」

悪魔「ああ、かなり焦ってるな」

女悪魔「このゲームいつから??」

悪魔「今日から開始」

女悪魔「初日でコレって、運がないわねえ」

悪魔「ま、そりゃあ人それぞれだろうな」

悪魔「いつまでたっても救うべき人間が周りに現れないやつもいるだろうし…」

女悪魔「期限は??」

悪魔「おれの気分次第」

女悪魔「は??それでいいの??」

悪魔「ジジイがそれでいいって言ったんだからいいの」

女悪魔「ははっ可哀想」

悪魔「その方が本気でやるだろ」

女悪魔「確かにそうかもね」


43.
女悪魔「で、このゲームに勝ったらどうなるの??」

悪魔「死刑免除」

女悪魔「…」

女悪魔「は??」

悪魔「負けた11人は『危険分子』として死刑」

女悪魔「はあ??」

悪魔「…と、いう設定」

女悪魔「なんだ…びっくりした」

悪魔「人間が悪魔のことや冥界のことなんて知るはずないからな」

悪魔「やつらは必死になって人助けをするだろ」

女悪魔「そうね。悪魔が人間を殺せないなんて、知らないでしょうからねえ」

悪魔「冥界の特級のタブーだからな」

女悪魔「悪魔を殺して冥界より下に落とされた悪魔の話は聞いたことあるけどね」

悪魔「人間を殺すと消滅させられるらしい」

女悪魔「なに、消えるだけ??」

悪魔「周りから見たらな」

悪魔「本人は永遠の地獄に閉じ込められるんだと」

女悪魔「でもそれ噂でしょ??」

悪魔「まあな」

女悪魔「それを人間はハイハイって言うこと聞いてたの??」

悪魔「もちろん文句は出てたから、脅しはかけたけどな」

女悪魔「どうやって??」

悪魔「風を吹かせて、雨を降らせて」

女悪魔「それだけ??」

悪魔「本気になったら雷も落とせるぜ、ってな」

女悪魔「なるほどお」

悪魔「そしたらみんなブルブルしてやんの」

女悪魔「そりゃあ自然を操るって、人間にとっては脅威でしょうよ」

悪魔「でも、やつらにしちゃ『生き延びるチャンス』さ」

悪魔「ある意味前向きに取り組めてる」

女悪魔「前向き、ねえ…」


44.
女悪魔「他のモニターも、こんな感じなの??」

悪魔「他の所のモニターは見てないが、多分今はここが一番盛り上がってるな」

女悪魔「いきなりテロだもんねえ」

悪魔「しかも超悪質な、な」

悪魔「のんびりしてると本当に死んじまうぞ、あいつ…」

女悪魔「でも、ただの高校生がテロを止めるなんて不可能でしょ」

悪魔「ま、あの学校内にいるのはほとんど天界行きで問題ない生徒ばかりだからいいか」

女悪魔「そういう問題??」

悪魔「でも早々とリタイアしちゃあ賭けが盛り上がらねえんだけどな」

女悪魔「本人にとっちゃあ死活問題でしょ」

悪魔「文字通りのな」

女悪魔「『文字通り』ってそれ、使い方合ってんの??」

悪魔「知らね」

悪魔「そこいらのニュースキャスターよりかマシだろ」

女悪魔「そうね」


45.
女悪魔「ていうか、あのテロ集団やばくない??」

悪魔「ああ、今まで人間界からも冥界からも見逃されてきてたみたいだな」

女悪魔「何人いるか知らないけど、死んだら全部、こっちにくるよ」

悪魔「なーに、おれら悪魔の本分は悪人退治」

女悪魔「だから??」

悪魔「すでに悪魔が何人か向こうに行ってるよ」

女悪魔「邪魔するの??」

悪魔「ある程度はな」

女悪魔「ふうん」

悪魔「ま、ここにいる賭けてるやつらもモニターの高校生も、そんなこと知りもしないが」

女悪魔「じゃああの子は生き残れるかな」

悪魔「多分な」

女悪魔「多分って…」

悪魔「…お、見ろよ」

女悪魔「え」

悪魔「ちょっと寿命延びてやがる」

女悪魔「あ、ほんとだ」

悪魔「悪魔かな」

女悪魔「警察かもね」


46.
悪魔「これでまた盛り上がるかな」

女悪魔「…」

女悪魔「ねえ」

悪魔「ん??」

女悪魔「ジジイにさ、なにご褒美に貰うの」

悪魔「ああ、おれらの夢」

悪魔「強くてニューゲーム、さ」

女悪魔「マジで!?」

悪魔「そう約束した」

女悪魔「い、いいないいな」

悪魔「へへーん」

女悪魔「だからあんたが頑張って案出したのか」

悪魔「そういうこと」

女悪魔「しっかし…」

悪魔「あん??」

女悪魔「人間騙してゲームさせて」

女悪魔「冥界では賭けの取り仕切りして」

女悪魔「しかも強くてニューゲーム??」

悪魔「へへ」

女悪魔「あんたほんと、いいところ取りして、ずるいわねえ」

悪魔「まあ、そりゃあ」

悪魔「悪魔だからな」


頭脳戦はありません 悪魔に遊ばれた人たちの話ですので
★おしまい



150:rZqaQwfv0
テロの結末はどうなるんだよ。

151:SRBqiPuP0
よし、これから武装集団との頭脳戦g・・・・・あれ?

155:vskqQHcF0
面白かったのに
ここで終わるのはなんかもったいないな……


ФゝФ〕<作者さんのサイトです。肌着もバイクもアロマもない


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