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2010-06-16

少女「・・・・・・嘘つき」

1 :名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2008/10/04(土)
少女「・・・あなたは誰?」

悪魔「・・・悪魔だ」


少女「本当?悪魔って本当に居るの?」

悪魔「私が居るだろう」

少女「すごいわ!悪魔と出会えるなんて夢見たい!」

悪魔「・・・この禍々しい姿を見て、逃げ出さない奴はお前が初めてだ」

少女「あら、ごめんなさいね。私、目が見えないのよ」

悪魔「・・・・・・・・・」

少女「ねぇ悪魔さん。悪魔さんは、ここで何してるの?」

悪魔「・・・少し休んでいただけだ。すぐに出て行くから安心しろ」

少女「そんな・・・、ゆっくりしていけば良いのに」

悪魔「悪魔にゆっくりしていけだなんて、変わった奴だな」

少女「見えないのなら、誰が相手だって関係ないわ」

悪魔「なるほど」


悪魔「この大きい庭は、貴様のものなのか?」

少女「そうよ。正確には、私のお父様のものだけれど」

悪魔「立派なものだ。とても広い」

少女「そんなに広いかしら」

悪魔「ああ、広い。そして綺麗だ」

少女「悪魔も綺麗だなんて言うのね、変だわ」

悪魔「貴様だけには言われたくない」


2.
少女「悪魔さ~ん、居る?」

悪魔「・・・居る」

少女「良かった~。いなくなっていたらどうしようかと思った」

悪魔「どうして?」

少女「寂しいじゃない」

悪魔「私が居なくなると、寂しいのか?」

少女「寂しいわよ。悪魔と出会うなんて、滅多に無いことなんだから」

悪魔「・・・・・・・・・」

少女「それに、はい、クッキー」

悪魔「なんだソレは」

少女「お菓子よ。おやつを少しだけ取っておいたの。悪魔さんと食べようと思って」

悪魔「ほう」

少女「あなたと一緒に、クッキーが食べたかったのよ」

悪魔「・・・・・・・・・」

少女「さぁ、召し上がれ。お口に合うかしら?」

悪魔「・・・甘ったるい」

少女「そう?じゃあ今度は甘さを控えてもらうわ」

悪魔「・・・貴様は本当に変わった奴だ」

少女「クッキーを食べる悪魔ほどじゃないわよ」


3.
悪魔「・・・いつから」

少女「え?」

悪魔「いつから、目が見えないんだ」

少女「・・・・・・・・・」

悪魔「いや、なんだ、その・・・」

悪魔「言いたくないなら、いいんだ、悪かった」

少女「・・・ぷ」

悪魔「なにがおかしい」

少女「悪魔のクセに、うろたえすぎよ」

悪魔「・・・・・・・・・」

少女「唐突なことを聞くから、びっくりしただけよ」

悪魔「・・・もう勝手にするが良い」

少女「あ、拗ねた。悪魔のくせに」

悪魔「うるさい」


4.
少女「よく覚えていないんだけれど・・・」

悪魔「ふむ」

少女「物心ついたときには、もう見えていなかったわ」

悪魔「・・・・・・・・・」

少女「昔は見えていたらしいわ。でも、覚えてないし・・・」

少女「なんの病気かも、私は分からないの」

悪魔「ほう」

少女「まぁ、不自由はしていないけどね」

悪魔「そうだろうな。私とこうして話せるのも、目が見えないお陰だ」

少女「あら、そんなこと無いわよ」

悪魔「きっとそうだ」

少女「まだ拗ねてるの?」


5.
少女「あ~く~ま~さん」

悪魔「・・・なんだ、また来たのか」

少女「なによ、ここは仮にも、私の家よ」

悪魔「そうだった、そろそろお暇するとしよう」

少女「待って待って、私のティータイムを奪う気?」

悪魔「正確には、そのあまりものだけどな」

少女「酷いわ、私は楽しみにしてるのに・・・」

悪魔「・・・・・・・・・」

少女「・・・・・・・・・」

悪魔「・・・今日は」

少女「え?」

悪魔「今日の菓子はなんだ」

少女「・・・今日はスコーンよ。甘さ控えめ」

悪魔「・・・これでも甘ったるいぞ」

少女「そういうものなのよ、頑固ね」

悪魔「悪魔は頑固なのだ」

少女「可愛らしい頑固だわ」

悪魔「・・・・・・・・・」


6.
少女「ねぇ」

悪魔「何だ」

少女「悪魔って、飛べるの?」

悪魔「飛べるぞ、羽がついている」

少女「羽がついてるの?すごいわね!」

悪魔「・・・想像しているよりも、ずっと醜い羽だけどな」

少女「あら、飛べるなら同じよ。すごいわ」

悪魔「・・・・・・・・・」


少女「悪魔って、結婚するの?」

悪魔「ケッコン?ケッコンとは、なんだ」

少女「知らないの?じゃあ、しないのね」

悪魔「質問に答えろ」

少女「そうねぇ・・・、男女が同じ姓を名乗ることかしら」

悪魔「なに?そんなことなのか」

少女「他にも色々あるけどね。まぁ、そんなものよ」

悪魔「なるほど・・・、貴様は、それがしたいのか」

少女「女の子の夢ですもの」

悪魔「私がしてやろうか」

少女「・・・本当?」

悪魔「・・・あ、ああ」

少女「うれしいわ!ありがとう」

悪魔「そうか」

少女「でももう少し待ってね、私、まだ結婚できないのよ」

悪魔「ほう・・・。分かった、待ってる」

少女「ふふ」


少女「じゃあ、悪魔さん、また明日ね」

悪魔「ああ・・・」

悪魔「・・・・・・・・・」


悪魔(なぜ、あいつはあそこまで私に構う?)


7.
悪魔(私は悪魔だ。恐怖の化身、災いの象徴・・・)

悪魔(あいつの目が、見えないからか?)

悪魔(私のこの醜い肢体が分からないからか・・・?)

悪魔(・・・・・・・・・)

悪魔(・・・もしも目が見えたら、あいつも)

悪魔(あいつも私に、石を投げつけるのだろうか)

悪魔(あいつの顔も、恐怖に歪むのだろうか・・・)

悪魔(・・・・・・・・・)

悪魔(それは、嫌だな)


悪魔(なんとなく、嫌だ)


8.
少女「・・・・・・・・・」

悪魔「・・・どうした」

少女「今度ね、手術をすることになったの。目の」

悪魔「!」

少女「絶対治るって、お医者様は言うけど・・・。不安ね」

悪魔「・・・・・・・・・」


悪魔(私の姿を見たら、貴様は・・・)

悪魔(目が見えないほうが、いいじゃないか)

悪魔(しかし・・・)

悪魔(・・・・・・・・・)


悪魔「・・・・・・・・・」

少女「悪魔さん・・・?」

悪魔「貴様は・・・」

少女「へ?」


悪魔「貴様は、・・・空を、見たことはあるか」


9.
少女「空?・・・覚えてないわ」

少女「目が見えていたかどうかも、覚えていないのよ」

悪魔「なら、花は」

少女「・・・覚えていない。見えないのよ」

悪魔「なら、見たほうが良い」

少女「?」

悪魔「見たほうが良い。綺麗なんだ」

少女「・・・・・・・・・」

悪魔「綺麗なものは、見えたほうがいい」

少女「・・・・・・・・・」

悪魔「大丈夫だ。きっと、見えるようになる」

少女「・・・なら」


少女「なら、私はあなたと一緒に見たい」


10.
悪魔「・・・は?」

少女「ねぇ、良いでしょう?私、あなたの顔も知らないのよ」

少女「あなたの顔を見て、体を見て、羽を見て」

少女「ありのままのあなたを見て、あなたと一緒に空を見たいわ」

悪魔「私は・・・」

少女「醜いの?でも見たいの。あなたはお友達なんだから」


少女「お友達と一緒に見る空は、きっともっと美しいはずだわ」

悪魔「・・・・・・・・・」

少女「ねぇ、約束して」

少女「私の目が見えるようになっても、そばに居て」

悪魔「・・・・・・・・・」

少女「・・・もう行くわ。約束、覚えておいてね」


悪魔「・・・・・・・・・」

悪魔(・・・まったく、適わないな)


悪魔(とても、とても強い娘だ)

悪魔(あいつならきっと、私の姿を見ても・・・)

悪魔(・・・・・・・・・)


11.
男「・・・なぁ」

悪魔(?・・・誰だ、こんな時間に・・・)

悪魔(屋敷の・・・外?)

男「一体どういうことだ!あの娘の目が見えるようになったら!」

女「ごめんなさい」


悪魔(確か、屋敷の庭師と、召使、だったか?)

悪魔(そして『娘』とは・・・)


男「まったく、君がちんたらしているから!」

女「だって、こんな早く手術が決まるだなんて・・・」

男「これからは、金をスムーズに流せなくなるじゃないか!」


男「今までは、あの小娘の目を盗む必要も無かったが・・・」

女「見えないものね」

男「そうだ。でも、手術が成功してしまったら!」

女「だったら、良い案があるんだけど」

男「案?」

女「そう。要は、手術を成功できなくすれば良いのよ」

男「なるほど。でも、どうやって?」

女「簡単なことよ。ちょっと機械をいじってしまえばこっちのもの」

女「私に任せて頂戴」

男「流石、君はそういうことは得意だな―――」


悪魔(・・・・・・・・・)


12.
悪魔(・・・手術が、成功しなくなる?)

悪魔(あいつの目が、見えるようにはならないのか?)

悪魔(そうすれば・・・)

悪魔(私の姿を見られないで、済むかもしれない・・・)

悪魔(金のことは、どうでもいい)

悪魔(ただ、あいつの目が、見えなければそれで・・・)


―――なら、私はあなたと一緒に見たい

悪魔「私は、悪魔だ」

―――ねぇ、良いでしょう?私、あなたの顔も知らないのよ。

悪魔「災いの、象徴だ」

―――あなたと一緒に空を見たいわ。

悪魔「悪魔なんだ、私欲だけで考えるべきじゃないか」

―――ねぇ、約束して。

悪魔「私は悪魔だ、私は悪魔だ、私は・・・」

―――悪魔も綺麗だなんて言うのね。

悪魔「私は・・・」

―――変だわ。


悪魔「・・・・・・・・・」


悪魔「そうだ。私は、変な悪魔、だ」


13.
少女「・・・・・・・・・」

悪魔「どうした」

少女「庭師さんと、メイドさんの一人がいなくなったらしいんだけど・・・」

悪魔「心配か?」

少女「あたりまえよ」

悪魔「そうか・・・」

少女「?」

悪魔「それより、手術は?」

少女「明日よ。約束守ってよね」

悪魔「そのことなんだが・・・」

少女「なに?」

悪魔「しばらく私は、声が出せなくなる」

少女「え?どうして?」

悪魔「悪魔だからだ」

少女「そう・・・、寂しいわね」

悪魔「だが、約束は守る」

少女「本当?」

悪魔「ああ。私は話せなくなる。貴様は目が見えるようになる」

悪魔「対した問題は、無い」

少女「良かった・・・」

悪魔「私はこの場所にいる。目が見えるようになったら、来い」

少女「・・・分かったわ」


14.
少女「じゃあ今度は、見えるようになって、会いましょう」

悪魔「ああ、がんばれよ」

少女「悪魔に励まされるなんて、百人力ね」

悪魔「そうだといいな」

少女「・・・悪魔さん」

悪魔「なんだ」


少女「好きよ」

悪魔「私もだ」


少女「ほんと、変な悪魔ね」

悪魔「お前も、変な人間だ」


少女「ふふ、じゃあね」

悪魔「ああ」


悪魔(・・・・・・・・・)

悪魔「糧にするため以外に、むやみに人間を殺すことは、最大の禁忌」

悪魔「その禁忌を犯した者には、死・・・」

悪魔「最後に会えてよかった」

悪魔「約束・・・守れなさそうだな・・・」


悪魔「・・・・・・・・・」

悪魔「ああ・・・こんなに、誰かに見て欲しいと思ったことは、初めてだ」

悪魔「これも、お前の影響か」

悪魔「すごく安らかだ・・・」

悪魔(・・・・・・・・・)


悪魔(ケッコン・・・したかった・・・な・・・お前と―――)


15.
少女(―――あれから一ヶ月・・・)

少女(ようやく、彼に会える)

少女(手術が怖くなくなったのも、今日までのリハビリに耐えられたのも)

少女(全部、あなたのお陰よ)

少女(今日やっと、会えるわ)

少女(あなたがいたから、寂しくなかった)

少女(あなたがいたから、勇気が湧いた)

少女(私の大切なお友達・・・!)

少女(そして・・・)

少女「私の・・・大切なひと・・・っ!」


少女「はぁ、はぁ・・・」

少女「遅くなってごめんなさい」

少女「悪魔・・・さ・・・」


少女「・・・・・・・・・」



少女「・・・・・・嘘つき」


16.
少女「あなたが・・・悪魔?」

少女「嘘よ、だって・・・」

少女「全然醜くなんて、無いじゃない」

少女「これが、羽のつもり?こんなもので、飛べるはず、無いじゃない」

少女「あなたがこんな・・・小さいはず・・・無いじゃない・・・」


―――悪魔がいた場所には、一輪の花が咲いていた。
  少しだけ不恰好に曲がった葉を除けば、とても、可愛らしい花だった。
  少女は花に歩み寄る。

その、口の利けない、小さい小さい花には、微かに、温もりがあった。

少女「あなたは嘘つきよ」

少女「こんなに可愛らしい姿を自分で、醜いだなんて」

少女「こんな姿で、クッキーなんて、食べられるはず無いじゃない・・・」


少女「・・・・・・・・・」

少女「・・・でも、約束は、守ってくれた」

少女「ここに居てくれたわね」

少女「私と、空を見てくれたわね」


少女「ありがとう―――」


―――鮮やかな赤い花弁に、水滴が落ちる。
  少女の目が、光を取り戻してから、初めての涙だった。


17.
その後、たった一輪だけだったこの花は、彼女の世話の甲斐があってか

少女が大人になるころには、屋敷の庭全体に咲き誇った。

まだ名も無い花を眺めて、その美しさに人々は目を奪われた。

やがて、とある有名な学者の一人が、この花を正式に新種として発表することを決定した。

その旨を伝えると、彼女は、やや挑戦的な口調でこう言い放った。


女「この花は、私が見つけて、育てたのよ」

学者「はぁ・・・」

女「新種の花や木は、見つけた人間の名をつけられるそうね」

学者「もちろんですとも、あなたのお名前をお付けしましょう」

女「いや、名前じゃ駄目ね」

学者「?」

女「そうねぇ・・・、私の姓を花に授けてくださらない?」

学者「構いませんが・・・、なぜ、名では無いのですか?」

女「ふふ」



女「花と結婚するのも、悪くないと思わない?」

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